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広報・情報紙

大田区文化芸術情報紙『ART bee HIVE』vol.15 + bee!

2023/7/1発行

vol.15 夏号PDF

大田区文化芸術情報紙『ART bee HIVE』は、2019年秋から大田区文化振興協会が新しく発行した、地域の文化・芸術情報を盛り込んだ季刊情報紙です。
「BEE HIVE」とは、ハチの巣の意味。
公募で集まった区民記者「みつばち隊」と一緒に、アートな情報を集めて皆様へお届けします!
「+ bee!」では、紙面で紹介しきれなかった情報を掲載していきます。

アートな場所:穴守稲荷神社 + bee!

アートな場所:CO-valley + bee!

今後の注目EVENT + bee!

アートな場所+ bee!

お一人お一人の想いで境内を灯す
「穴守稲荷神社・献灯祭」

文化文政の頃(19世紀初頭)、羽田浦(現羽田空港)開墾の際に創建された穴守稲荷神社。明治以降は関東の稲荷信仰の中心地として、関東近辺のみならず、日本全国さらには台湾やハワイ、アメリカ本土にまで講社や分社が創られるほど崇敬を集めました。周辺には鳥居前町だけでなく、温泉街や海水浴場があり、参詣鉄道として京浜穴守線(現京浜急行空港線)が開通し、東京を代表する一大観光地でした。敗戦直後、東京飛行場の拡張に伴い、現在地へ地元住民とともに移りました。

穴守稲荷神社では毎年8月下旬の金・土曜に、諸願の成就を願い境内を約1,000基の行灯あんどんが埋め尽くす「献灯祭」が行われます。行灯の絵柄の多くは手作りで、思い思いのデザインが魅力的です。この期間、穴守稲荷神社は祈りに溢れた美術館に変わります。「献灯祭」が始まった経緯や参加の仕方・制作過程などについて宮司の井上直洋さんにお話を伺いました。

夏の夜の闇に浮かぶ献灯祭当日の穴守稲荷神社

灯りを奉納することは、神様に感謝を示す行為。

献灯祭が始まったのはいつでしょうか。

「平成4年の8月からです。」

きっかけは何だったのでしょうか。

「地元の商店街が8月の下旬にサマーフェスティバルを開催されていて、それに合わせて地域の皆さんと一緒に地域を盛り上げるお祭りを行えないかということになりました。稲荷神社の総本宮である京都の伏見稲荷で、7月に境内全体を提灯で飾る宵宮祭があります。それをオマージュしてご神前に行灯をささげるお祭りとして始まりました。」

献灯祭の意味や趣旨についてお教えください。

「今は奉納というと一般的にはお賽銭を思い出しますが、もともとは収穫されたお米や海産物を神様に感謝してお供えしていました。献灯祭は御明みあかしと言いまして、神様に灯りをお供えすることです。灯りをお供えするのはどういうことかと思う方もいらっしゃるでしょうが、かつてはロウソクや油は非常に貴重なものでした。神様に対して灯りをお供えすることは、神様に感謝を示す行為として古くからあるものです。」

お一人お一人の個性があふれる手描きの行灯

奉納物ですのでご自身で描かれるのが良いと思います。

献灯祭にはどんな方が参加されているのでしょうか。

「基本的には日頃から穴守稲荷神社を崇敬されている方々を中心に行灯を奉納していただいています。」

誰でも献灯できるのでしょうか。

「奉納はどなたでもしていただけます。御明を奉納するのは、ご拝殿でお賽銭を入れて拝むことと本質的に同じ行為です。お賽銭をするのにあなたはいい、あなたはだめということはないように、ご信心があればどなたでも奉納いただけます。」

いつごろから募集されているのでしょうか。

「7月頃に社務所でチラシをお配りして、ご希望される方を受付するという形になります。」

行灯を見させていただくと、絵柄が本当にいろいろで一つ一つが個性的です。これは皆さんがご自分で描かれているのですか。

「神社でも用意していますが、奉納物ですのでご自身で描かれるのが良いと思います。昔は紙に直接描いたのですが、今はパソコンなどの画像データをいただいて、こちらで印刷することもできます。年々、ご自分の絵を行灯にされる方が増えてきていますね。」

紙に直接描く場合はどういう紙に書けばいいでしょうか。

「A3のコピー用紙で結構です。そのサイズの和紙でも結構です。ただ若干雨に晒されることもありますので、注意してください。詳しいことは募集の要項で確認できます。」

赤い大鳥居と本殿ⓒKAZNIKI

ご自身でご神前に灯りを捧げる。

献灯される方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

「近年はコロナ禍もありましたのでその年によって違いますが、行灯は1,000基前後を奉納していただいています。商店街の輪踊りやいなり市はコロナの関係で行なっていなかったですが、それでも近隣の方々はもちろん遠方の方など多くの方にご参拝いただいています。今年は観光客の方もきっと増えるので、いっそう賑やかになると思います。」

行灯はどのあたりに飾るのでしょうか。

「駅から続く参道と境内の垣根のところと拝殿の正面ですね。神社に来るのはご社殿に参拝するのが主目的ですから、その道中を照らし皆さんがより参拝しやすいようにするためです。旗を立てるのも一緒ですよね。また、参拝する気持ちを高めるための一つの方法でもあると思っています。」

今でも、ロウソクの灯りを使われていますね。

「一部ですね。全部ロウソクというのは風が強かったりすると危険なところもありますし、なかなか難しい。とは言え、全てが電気というのは献灯祭の本来的な意味からして味気ない。やはり忌火いみび*を一つ一つ分けて作るというのが望ましい。ご社殿の前の神様に近いところは忌火を直接付けて、遠いところは電気という形でいいところを取りまして行なっています。」

当日にこちらに伺いまして、行灯のローソクに自分で火を入れることはできるのでしょうか。

「もちろんできます。本来的にはそれが望ましい形ですが、火を入れる時間は決まっていますし、皆さんが皆さん時間通りには来られない。遠方の方ですと当日来られない方もたくさんいらっしゃいます。当方で神職や巫女が代わりに火をお入れすることもできます。」

自分で火を入れると、ますます奉納したという意識が強くなりますね。

「参加者の方にご神前に灯りをお供えする行為そのものを行なっていただきたい。原点を大切にするといいますか、心を込めて御明を捧げることを大切にしたいです。」

 

それぞれご自身の技術・芸能を奉納していただく。

こちらでは神社や地域の写真・絵画・イラストを募集されているとお聞きしました。それについてお話しください。

「神社は様々なご奉納やご寄付といった奉仕行為で成り立っています。お賽銭を入れたり、ご祈祷で初穂料を納めたりという金銭的な奉納だけでなく、それぞれご自身の技術・芸能を奉納していただくのも大切なご奉仕の一つです。寄付イコール金銭ということではないんですね。歌であったり、踊りであったり、絵画といった創作物であったり、ご自分が磨いてきた技術やモノをご神前に奉納することは古くから行われています。本質的にはお賽銭を奉納したり、ロウソクで御灯を奉納するのと同じベクトルの行為です。」

最後に区民の皆さんへメッセージをお願いします。

「大田区の方でも穴守稲荷神社について名前は聞いたことあるけど、よくは知らない方、来たことがない方が思いのほか多くいらっしゃる。皆さんに参加していただく形で神社を知っていただきたい。一方通行の形ではなくて、皆さんお一人お一人の想いで境内を灯していただきたいと思っています。それが献灯祭に絵を描いていただき奉納していただくことです。一人でも多くの方にご参加いただければ幸いです。」

氏子さんのご奉仕による花手水、今では花手水のための花を境内で栽培しています。

*忌火:不浄をみ清めた火。神事に用いる。

プロフィール

宮司の井上さん ⓒKAZNIKI

井上直洋

穴守稲荷神社 宮司

献灯祭・行灯奉納

8月25日(金)・26日(土)18:00~21:00

社務所にて受付中 (7/1(土)〜8/24(木))

1基ずつご氏名と願い事を墨書して明かりを灯します(1基3,000円)。

穴守稲荷神社
  • 所在地/東京都大田区羽田5-2-7 
  • アクセス/京浜急行空港線「穴守稲荷駅」徒歩3分、京浜急行空港線・東京モノレール「天空橋駅」徒歩5分
  • TEL/03-3741-0809

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アートな場所+ bee!

普段は交わりのない人たちが出会い、今までにないカルチャーが生まれたらうれしい。
「CO-valley」コ・バレー

京浜急行線「大森町駅」から梅屋敷方面へ100メートルほど進むと、高架下に鉄パイプが組まれた不思議な空間が現れます。それが都会のひみつ基地CO-valleyです。代表の清水麻衣さんと運営メンバーの瀧原けいさんにお話を伺いました。

高架下に突然現れるひみつ基地ⓒKAZNIKI

色んなものが混じり合える良さがあります。

オープンはいつですか。

清水「2022年の11月にオープンしました。もともとは2016年から渋谷でSHIBUYA valleyというスペースを運営していました。タワーレコードの裏にあるビルの屋上で、焚き火を囲むイベントが始まりです。完全招待制のスペースでした。周りのビルで開発や工事が始まり、ご縁がありこちらに来ることになりました。」

CO-valleyという名前の由来をお話しください。

清水「町工場まちこうばのコとか、町内会のこども食堂のコだったり、地元の町工場や住民の方たちと“コ”ラボしていきたいという意味合いもあります。」

瀧原「 “共に”という意味の接頭語の“CO”です。」

コンセプトをお教えください。

清水「今まで使われていなかった高架下という街の谷間で、普段は交わりのない人たちが出会い相互作用を起こし、今までにないカルチャーが生まれたらうれしいです。前は渋谷だったので“THE 若者”という感じでした。ここはもっと広がりがあります。町内会とアーティスト、町工場とミュージシャン、お年寄りから子どもたちまで、本当に色々な人たちが集まって来てくれます。

昨年、町内会と一緒にクリスマスマーケットを行いました。屋内でライブをして、外で町内会長さんがおでんを出したり、地元の方とアーティストたちが自然に混じり合えたイベントでした。その後の町内会主催の“こども食堂”にもその時参加したアーティストがお絵描きワークショップをしたり、ミュージシャンが生ライブしたいと言ってくれています。地元の方とアーティストに相互作用が生まれ、面白いことをやっていける場所になるといいなと思っています。その兆しは見えてきています。」

イベントごとに装飾され毎回違った空間に変身(オープニングイベント2022年)

日々建築中、永遠に未完成の場所。常に移り変わっていければいい。

今まで行なってきたアートイベントについてお話しください。

瀧原「民族楽器を持ち寄ってセッションするイベント “Urban Tribal”を行いました。オーストラリアのアボリジニの楽器ディジュリドゥ、インドのタブラ、アフリカのカリンバなど、鈴、手作り楽器などなんでもOKです。楽器を持って来られない方にはセッション用に簡単な楽器を用意していますので、誰でも気軽に参加できます。カーペットを敷いて、円座になって全員で演奏するのは楽しいですよ。毎月、満月の夜に定期開催しています。」

清水「アンビエントミュージック(環境音楽)の90分生ライブ“90 minutes Zone”を行いました。和ろうそくで装飾した屋内で、瞑想、ビデオジョッキー、ライブペインティングと生演奏を楽しむ。YouTubeに動画があがっているので良ければ見てください。」

イベントごとに装飾が変わるのですか。

清水「毎回、主催者の人の色になるんです。アーティストとコラボしての企画が多いので、絵の展示やインスタレーション、絨毯を敷いたり、テントを張ったライブもありました。イベントごとにいろいろな姿に変わります。お客さんから来るたびに表情が違って、同じ場所とは思えないと言われます。使う人によって空間が変わる。日々建築中で、永遠に未完成の場所。常に移り変わっていければいいと思っています。」

90 minutes Zone(2023年)

地元の注目すべき人たちやアーティストを掘り起こし、アーカイブを作っていきたい。

イベントには地元の方も参加されているのですか。

清水「看板を見て興味を持ってくださった方が、ふらっと遊びに来てくださったりしています。」

瀧原「オープニングイベントの時は、屋外で大々的にライブも行いました。その時にも近隣に住んでいる方にも多く来ていただきました。」

清水「親子連れの方や犬連れの方も高架下でくつろいでくれていましたね。」

瀧原「ただ残念なのは2022年11月オープンですから、今まで季節がずっと冬だった。どうしても屋内でのイベントが多くなってしまう。現状では飛び込み的に入って来られる方が少ないというのはありますね。」

清水「これからですね。早く暖かくなって欲しいです。」

今後、春夏に向けて具体的な企画があったら教えてください。

清水「昨年12月に町内会と一緒にやった外でマルシェ、中で音楽ライブといったイベントがとても楽しかった。それを4月から月1回ペースでやっていきたいなと考えています。現在、Valley’s clubというイベントを隔週木曜日にやっています。運営メンバーの知り合い限定の交流会的なものですが、今後は毎回一人フューチャーして、トークライブやライブパフォーマンス+交流会をYouTube配信していきたいと思っています。地元の注目すべき人たちやアーティストを掘り起こし、アーカイブを作っていきたいです。」

Urban Tribal(2023年)

街や人の顔がしっかりと見えるエリア。

大森地区の魅力について教えてください。

清水「私はもともと渋谷の人間ですが、今はもう半分ここに住んでいます。物価が安くて、何より商店街が凄くいいんです。100円ショップのおばあちゃんがいつも話しかけてくれたり、雑貨屋に鍋とか金物を買いに行ったとしてもお母さんみたいなお店の人が親切にしてくれる。商店街がめちゃくちゃ暖かいです。」

瀧原「京急線沿いの特徴として、一駅に一つくらい商店街がちゃんとあります。さらにチェーン店でなくて個人商店が多い。街や人の顔がしっかりと見えるエリアだと思います。」

清水「銭湯でもみんな顔見知りっぽい。おばあちゃん同士で背中流しあったりしていますよ。」

代表の清水さん(左)と運営メンバーの瀧原さん(右)ⓒKAZNIKI

大田区の皆さんへメッセージをお願いします。

清水「365日、いつでもどなたでも遊びに来てください。一人一人が自分の好きなことをやって生きていく。するとすごくいい何かが広がっていく。そして、みんなの人生が楽しくなると思います。アートやカルチャーはそういうものです。一人一人が自分の愛することや人や物やクリエイションを大切にし、それが広がって行けばいいなという気持ちでやっています。」

ハンモックでゆったり日向ぼっこⓒKAZNIKI

CO‐valley
  • 所在地/東京都大田区大森西5-29-22
  • アクセス/京浜急行線「大森町駅」徒歩1分
  • 営業日・営業時間/イベントごとに変化します。詳しくはHPなどをご覧ください。
  • TEL:080-6638-0169

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今後の注目EVENT +bee!

今後の注目EVENT CALENDAR 2023年7~9月

今号で取り上げた夏のアートイベント&アートスポットをご紹介します。ご近所はもちろん、アートを求めてちょっと遠出をしてみてはいかがでしょうか。

注目EVENT情報につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、今後中止または延期となる可能性がございます。
最新情報は、各問合せ先にてご確認頂きますようお願い申し上げます。

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日時 7月7日(金)~8日(土)
11:00-21:00(ライブパフォーマンスは19:00-20:30を予定)
場所 KOCA 他
(東京都大田区大森西6-17-17)
料金 無料(一部有料)、ライブパフォーマンス:1,500円(1ドリンク付)
主催・問合せ KOCA by @カマタ
info@atkamata.jp

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空港散歩 ~大田区羽田 ヒコーキとニャン~
T.Fujiba(藤林敏啓)写真展

日時 7月7日(金)~8月31日(木)
9:00-17:00
場所 穴守稲荷神社社務所
(東京都大田区羽田5-2-7)
料金 無料 
主催・問合せ 穴守稲荷神社
TEL:03-3741-0809

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 お噺(はなし)の森~講談と薩摩琵琶できく怪談“耳なし芳一”~

日時 8月19日(土)
①午前の部11:00開演(10:30開場)
②午後の部15:00開演(14:30開場)
場所 大田文化の森ホール
(東京都大田区中央2-10-1)
料金 全席指定
①午前の部 一般 1,500円、中学生以下 500円
②午後の部 2,500円
※①午前の部:4歳以上入場可
※②午後の部:未就学児入場不可
主催・問合せ (公財)大田区文化振興協会
TEL:03-6429-9851

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Slow LIVE '23 in池上本門寺 20th Anniversary

日時 9月1日(金)~9月3日(日)
場所 池上本門寺・野外特設ステージ
(東京都大田区池上1-1-1)
主催・問合せ J-WAVE、ニッポン放送、ホットスタッフ・プロモーション
050-5211-6077(平日12:00~18:00)

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ベニス・ビエンナーレ1964年日本代表4名展


豊福知徳《無題》

日時 9月9日(土)~10月1日(日)
10:00-18:00(月・火曜は予約制、企画展開催中は無休)
場所 みぞえ画廊
(東京都大田区田園調布3-19-16)
料金 無料
主催・問合せ みぞえ画廊

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お問合せ

公益財団法人大田区文化振興協会 文化芸術振興課 広報・広聴担当