広報・情報紙
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2023/1/5発行
大田区文化芸術情報紙『ART bee HIVE』は、2019年秋から大田区文化振興協会が新しく発行した、地域の文化・芸術情報を盛り込んだ季刊情報紙です。
「BEE HIVE」とは、ハチの巣の意味。
公募で集まった区民記者「みつばち隊」と一緒に、アートな情報を集めて皆様へお届けします!
「+ bee!」では、紙面で紹介しきれなかった情報を掲載していきます。
特集記事:伝統を活かしつつ 生まれ変わる街 池上 + bee!
アートな人:古民家カフェ『蓮月』オーナー・輪島基史さん + bee!
アートな場所:『KOTOBUKI Pour Over』オーナー/墨流し作家/アーティスト・中井慎吾さん + bee!
池上は日蓮聖人入滅の地であり、池上本門寺の門前町として鎌倉時代から発展してきた歴史ある街です。寺町ならではの景観や落ち着いた暮らしぶりを活かしつつ、今、アートな街に再生しようとしています。そんな池上でシェア型本屋「BOOK STUDIO」を運営するアベケイスケさんと石井秀幸さんにお話を伺いました。「BOOK STUDIO」は30cm×30cmの棚を最小とした小さな本屋さんの集まりで、各本棚には棚主さん(店主さん)の思い思いの屋号がつけられています。
30cm×30cmの棚を最小としたシェア型本屋「BOOK STUDIO」
ⓒKAZNIKI
BOOK STUDIOはいつから活動しているのでしょうか。
アベ「2020年のノミガワスタジオ*のオープンと同時にスタートしました。」
お店のコンセプトについてお教えください。
アベ「世の中の本屋といえば、街の小さな書店や大型店舗があります。本屋の使い方は、あの本が欲しい、こんな本が欲しいと目的の本を探しに行くのが基本です。だから、品揃えが多い大きな書店に行く方が楽しいし便利なわけです。デザインならデザインの本がいっぱいある。隣には関連書籍があって、これも見つかった、あれも見つかったとなるわけです。でも、それは本屋の楽しみの一つの側面にすぎないと思います。
シェア型本屋の面白さは、棚が小さくて棚主さんの趣向がそのまま出ることです。どんな本が並んでいるのか分からない。俳句本の隣に、いきなり科学の学術書があるかもしれない。そんな偶発的な出会いが楽しいんです。」
石井「BOOK STUDIOは自己表現の場です。私はこういう志向を持っていますということが本を通して伝わってきます。」
ワークショップも行なっていらっしゃいますよね。
アベ「棚主さんが店番をする時に、ノミガワスタジオのスペースを使って、棚主さん企画のワークショップを行なっています。表現の場が棚から飛び出すことができる。他の本屋さんにはない魅力です。」
石井「棚主さんの想いをあの棚の中だけに押し込みたくはないんです。とはいえ、棚が空っぽだと何も飛び出てこないので、本屋を充実させることが大事だと思っています。」
現在、棚主さんは何組程でしょうか。
アベ「29棚くらいになっています。棚主さんはもっと増やした方が良くて、そこが課題です。」
石井「棚主さんが増えれば、もっと面白くなると思います。棚主さんが多ければ多い程いろんな趣向の方が集まって、興味の連鎖が増えて、より多くの人が繋がることができると思います。」
シェア型本屋へのお客さんの反応はいかがですか。
アベ「本を買いに来るリピーターの中には、特定の棚を見に来られている方もいます。あの棚に次はどんな本が入っているか、次はどんなコンセプトでどんなテーマ決めて提案しているのかを楽しみにしていらっしゃいます。」
お客さんと棚主さんが直接コミュニケートを取ることはできるのでしょうか。
アベ「棚主さんが店番をしているので、棚の中の本を推薦している人と直接話ができるのも魅力です。お客さんがいらっしゃった時に棚主さんが店番をしてなくても、こんな方が来てあの本を買われていきましたよと、私たちから棚主さんに伝えます。お客さんと棚主さんはまだ顔を合わせたことはないけれど、今後いつ会うかはわからないけれど、棚主さんとしてもお客さんとのつながりは熱いものがいっぱいだと思います。」
石井「店番は当番制ですから、お目当ての棚主さんと常に会えるわけではないですが、タイミングが合えばお目にかかって会話ができる。直接に会えなくても、お客さんが伝えたいことがあれば、メモを貼っておくこともできます。」
アベ「お手紙をいただけば、私たちが棚主さんにお届けします。」
石井「俳句屋さんというお店があって、そこで本を買われたお客さんが棚主さんにお手紙を置いていかれて、以来お二人はとても仲良くなられた。BOOK STUDIOは出会いの場でもあります。」
アベ「みなさんのご都合もあり、どうしてもギリギリになってしまいがちですが、今週の棚主さんといった予定もお知らせしています。」
石井「棚主さんの中から、本を売るだけではなく、ご自身の本を出版する方も生まれてきました。そこまで表現に踏み込まれる人が出てきたのはうれしいですね。」
棚主さん企画のワークショップも開かれるノミガワスタジオ
ⓒKAZNIKI
池上エリアの魅力についてお話しいただけますか。
石井「本門寺さんがあるから悪いことはできないねと二人で話しています。本門寺さんに見守られている感じがあるんです。それに本門寺がなかったら、多分古いものがどんどんなくなって、どこにでもあるような街になっていたと思います。お寺があることで、この独特の雰囲気を作っているのは間違いないです。池上は、街の背骨がしっかりしている。」
アベ「雑な行動が出来ないのはもちろん、むしろ自分も少しは街の役に立ちたいといった気持ちになります。あとは呑川ですね。呑川があるだけで全然違う。季節の移り変わりが見えてくる。今はカモの時期だなとか、渡り鳥が来る時期になったなとか、川に来る鳥を見ているだけで楽しめます。水の状態というか、川の表情も毎日違う。川面にそそぐ日差しも違います。そうした変化が日々感じられるのは叙情的でいいなと思います。」
石井「呑川がもっときれいに、もっと親しみを持てるようになればいいなと思っています。実はこの川は全部封鎖されて暗渠(あんきょ)になる予定だったんです。それが先人の努力によって今の姿として残った。そんな奇跡的に残った川ですが、現状は住民との関わりが希薄です。もっと人と接点を持てる場所になればいいですね。」
*ノミガワスタジオ:ギャラリー、イベントスペース、動画配信スタジオ、カフェなど、誰もが利用できる多目的スペース。
左らノミガワスタジオ・オリジナルTシャツを着た
石井さん、野田さん、息子さん、そしてアベさん
ⓒKAZNIKI
三重県生まれ。Baobab Design Company(デザイン事務所)、堤方4306(出張ライブ配信・配信コンサルティング)を運営。
東京生まれ。ランドスケープアーキテクト。2013年株式会社スタジオテラを設立。
現在、棚主さん随時募集中です。
昭和初期に建てられた蓮月。一階は蕎麦屋、二階は旅籠や宴会場として親しまれてきました。2014年、ご主人が高齢のために惜しまれつつも閉店。2015年秋、古民家カフェ 「蓮月」として復活し、古民家リノベーションはもちろん、池上地区の新たな街づくりの先駆けとなっています。
古民家カフェ「蓮月」
ⓒKAZNIKI
お店を始めたきっかけをお教えください。
「お蕎麦屋さんの蓮月庵が店を閉めた時に、有志の方々が集まって建物を保存のする話し合いが始まりました。結局、運営者が決まらなくて僕に声がかかったんです。皆さん困っていたので『僕がやります』と手を挙げさせてもらいました。」
今では古民家カフェ「蓮月」は有名ですから、開店から順風満帆にやってこられたイメージがあるのですが、立ち上げまでは大変ご苦労があったそうですね。
「無知だからこそ、できたと思います。お店の運営の知識がある今でしたら、お話をもらっても絶対できないですね。誰も手をあげなかった案件ですけど、今となればその理由はよく分かります。いざやり出してみたら経済的にも衝撃的でした。何も知らないことが一番の苦労で、一番の武器だったと思います。挑戦する勇気は、人よりもあったかもしれないですね。結局お話をいただいてから、5か月後にはもうオープンしました。」
それは早いですね。
「開店前に『ふきげんな過去』という小泉今日子さん、二階堂ふみさん出演の映画の撮影が入りました。その撮影が1か月だったんです。その間に株式会社にしたり、お店の準備を延ばせたのが幸運でした。実は一階の床の半分は映画のセットです。残りの半分は僕らが作ったんですけど(笑)。」
蓮月の前に古着屋をやっていらしたと聞いています。古着と古民家、古いものを今に活かしていくことが共通していると思います。いかがでしょうか。
「蓮月を始めてから気が付いたんですけど、僕の人生でやっているのは、古いものに新たな価値を生み出すことだと思っています。その価値を生み出す方法は物語ること。物語が価値だと思います。人間は必ず何かの物語に触れている。ドラマを見たり、本を読んだり、未来を想ったり、過去を振り返ったり、無意識に物語を感じて生きているのが人間です。僕の仕事は人と物語をつなぐことです。」
それは洋服を売っている時も同じですか。
「結果そうでしたね。その服がどういうものか、洋服のストーリーを伝える。その服を着る人がその物語に価値を見出し、その人の人生にちょっと関わっていくんです。」
お店のコンセプトをお教えください。
「文明・文化を体験できることをテーマにしています。リフォームするにあたって、1階は土足で上がれる空間、2階は畳敷きなので靴を脱ぐ空間にしたかった。これは自分の中で決めていました。1階は古民家そのままではなく、現代に合わせたアップデートした空間。2階はほとんど手を入れずに、古民家のままの状態に近い。僕の中では1階は文明で、2階は文化といった体験ができるという棲み分けをしています。」
庭へと続く居心地のいい空間
ⓒKAZNIKI
古いものを今にコーディネートしていくことにこだわりがあるわけですね。
「それはあります。ただ、あんまりやりすぎたらいけない。地域の人も急に攻めたお店ができると行きづらくなるから、ちょうどいいバランスを探しました。おしゃれすぎない、あまり敷居の高いお店というか、かっこつけたお店って居心地悪いじゃないですか(笑)。フランクに過ごせるような場所になるように意識しました。」
お客さんはどんな方が多いのでしょうか。
「女性が多いですね。週末は家族連れも多いです。あとはやはりカップル。年齢層は幅広くて、0歳から80歳までいます(笑)。オープンする前とかにターゲットをちゃんと決めた方がいいよって言われましたけど、ちょっと違うなと思って。ターゲットを決めないことが僕の中での一番のマーケティングかなと思っています。」
お店をやってみて気付いたことはありますか。
「この建物は昭和8年に建てられたものです。その時代の人たちのことを僕は知らないけど、その人たちがこの場所で確かに生きていた。その人たちの人生があって、その先に今僕たちがいる。僕もその人たちの一部というか。だから僕がいなくなっても、この建物が残っていけば何かが続いていく、そんな気がします。
今、僕が一生懸命やることで、また未来の何かにつながってくる、その一部なんだというのが、この店をやって気付いたことです。蓮月は過去と現在と未来をつなぐ場所であって欲しいと思っています。そして、蓮月で過ごすことによって、お客さんそれぞれの人生に新しい思い出や物語が生まれたら嬉しいです。 」
文化・芸術に接することで、人生の広がりというか、今生きている自分だけではなく、自分が生まれる前や自分がいなくなった後にも自分の人生があるような感覚が生まれてきます。
「分かります。自分が存在したことは、いなくなればなくなりますが、自分が言ったことや頑張った事実は気づかないうちに広がって生き続けていく。古い建物は居心地がいいよと発信するとともに、昭和の時代を生きた人たちが今につながっていることを伝えたい。いろんな過去があって、過去のいろんな人が今の僕らのことを思って一生懸命頑張ってきてくれたんだと思う。僕らもそうやって未来に向けて頑張っていく。自分達の目の前の幸せだけじゃなくて、幸せ配りができる人が多くなって欲しいです。」
そういう感覚はこうした古い建物だからこそ感じられるのでしょうか。
「例えばここの2階は畳敷で靴を脱ぎます。靴を脱ぐのは服を1枚脱ぐ感覚なので、やっぱりリラックスした状態に近づくと思います。2階は座布団を丸めてゴロゴロ寝ていてもいいですよと言っているんです。今、畳のある家は減ってきていますので、普段とは違うのんびりとした過ごし方があると思います。」
畳が広がる落ち着いた空間
ⓒKAZNIKI
蓮月が生まれたことことで、池上の街に何か変化はありましたか。
「蓮月を目的として池上に来てくれる人が増えたと思います。ドラマとかメディアで使われた時も、見てくれた人たちが蓮月に行ってみたいと情報をどんどん配信してくれる。もちろん、僕らもちゃんと配信していますが(笑)。蓮月だけでなく、池上に興味を持ってくれる人も増えたと思います。色んな魅力的なお店もどんどん増えてきている。少しは池上再生の呼び水になれたかなと思います。」
池上の魅力についてお教えください。
「寺町だからでしょうか、池上は時間の流れ方が違うかもしれない。慌ただしくないですね。それに、若い世代はチャレンジ精神を持っている人は多いかもしれない。おじいちゃん・おばあちゃんも多いですが、『出る杭は叩く』といった人はいなくて、街が変わっていくことを楽しんでいる人が多いですね。余裕があるというかゆとりがある気がします。」
「蓮月」店内の輪島基史さん
ⓒKAZNIKI
古民家カフェ「蓮月」オーナー。1979年金沢市生まれ。2015年、池上本門寺前に古民家カフェ「蓮月」をオープン。古民家リノベーションはもちろん、池上地区の新たな街づくりの先駆けとなる。
池上仲通り商店会の一角にある木造家屋をリノベーションした大きなガラス戸の青い建物、それがKOTOBUKI Pour Overです。墨流し*作家でアーティストの中井慎吾さんが運営するオルタナティブスペース*です。
ブルーに塗られたユニークな日本家屋
ⓒKAZNIKI
墨流しとの出会いについてお教えください。
「20年前、僕は日本の美術教育に違和感を感じて、ニューヨークに滞在して絵画を学んでいました。多様な人種の様々なアーティストと交流する中で、自分はなぜ絵画を描いているのか?という自問自答が僕の中で大きくなっていきます。アート・スチューデンツ・リーグ*での油画クラスの時に、講師が僕の描いた油画を見て『それは何だ?それは油画ではない』。さらに『私には書道に見える』と語った言葉が、自分の意識の中で何かを変えた瞬間でした。
その後、帰国して日本の伝統文化芸術をいろいろと調べました。そこで出会ったのが、平安時代に成立した平仮名と書のための料紙という装飾紙の存在でした。それを知った瞬間、自分の中でニューヨークの出来事と結びつき、これしかないと思いました。料紙を調べていく中で、装飾の技法の一つである、墨流しの歴史と文化に出会ったんです。 」
墨流しの何に魅了されたのでしょうか。
「墨流しの魅力は、歴史の奥深さと自然の作り出す過程を写し出す手法です。」
書道から現代美術に戻られたきっかけは何でしょうか。
「書道をやりながら、紙も自分で研究して作る。紙と書が一体になった作品は、日本人としてやるべき作品だと思い制作していましたが、書道団体の保守的な空気の馴染めませんでした。料紙は料紙で、職業にするにはもう需要がなさ過ぎました。若い世代がもっと料紙を取り入りやすい方法はないかと考えた時に、現代美術として表現する方がより自由度が高いものができるのではないかと思ったんです。墨流しは、現代的な表現の可能性を持っています。」
墨流しを実演する中井さん
ⓒKAZNIKI
お店を始めたきっかけは何でしょうか。
「アトリエ兼住居の物件を探していた時に、たまたまここを見つけました。僕は直接壁に描くといった現場仕事が多いので、アトリエが空いている時間がもったいない。ギャラリーとして使えば、地域の人とか新しい作家さんとの交流にもつながる。コーヒーやお酒を飲みながら談笑してアート作品を鑑賞できる自由なスペースが日本にあまりないので、自分でやってみたいと思い、始めました。」
名前の由来をお教えください。
「ここは元々寿屋という文房具屋さんがあった場所です。僕がやっている墨流しもそうですけど、何かを継承していく、変遷の中で何かが残っていくことはすごく重要だと思います。改修工事をしている間にも前を通るたくさんの人が『寿屋の親族の方ですかとか、ずっとここで文房具買ってました』と言ってくださって、オーナーのおばあちゃんが街の人気者だったわけです。
縁起の良い名前だしせっかくだから継承することにしました。そのままというのもあれだから、一応コーヒーも出すし、上から何かを注ぐ、コトブキ=寿を注ぐ、そんな想いでKOTOBUKI Pour Overとしました。」
カフェ・スペース
ⓒKAZNIKI
なぜカフェだったのでしょうか。
「ニューヨークにいた時に、作品をただ展示して静かに鑑賞するだけではなく、音楽がガンガン鳴っていて、みんなお酒をバンバン飲んで、作品は展示していますが何が主役か分からない、そんな空間がすごく格好良かった。そんなスペースだけどアングラに振り切る感じじゃなくて、おいしいコーヒーがあって、ちょっと特別な酒が置いてある空間。それらをたしなみながら作品を鑑賞できるし、観るだけでもいいし、コーヒー飲みに来るだけでもいい、そんな空間にしたかったんです。」
ここは文房具屋の前は紙屋だったということですが、墨流し・料紙作家さんが再利用するのは何かご縁を感じますね。
「全くです。前を通りかかった時に寿屋紙店って書いてあって、建物がガーっと建っていて、何ですか『うわっ、キター!』って思いました。ご縁を感じて、シャッターに不動産屋の張り紙がしてあったので、その場で電話しました(笑)。」
今までの展示活動についてお教えください。
「2021年のオープン以来、1か月から2か月に1回程度の間隔で途切れないように展覧会をやっています。」
その中でご自身の展覧会はどのくらいですか。
「ここでは自分の展覧会はやっていないです。ここではやらないと決めています。」
演劇の方とのコラボレーションもなさっていますね。
「近くに『劇団 山の手事情社』という劇団があって、そこの所属の人たちと仲良くしていただいて、色々協力していただいています。うちはオルタナティブスペースですから、美術展示ばかりでなく様々なイベントを組んでいきたいと考えています。」
今後、こんな作家やこんな展覧会をしてみたいとかありますか。
「若い作家さんに使ってもらいたいと思っています。若い作家さんたちは作品を作るのはもちろんですが、展示をする経験も必要です。1回で多く経験した方がいい。作家活動を続けていけるような展示環境を提供していきたいです。
作家同士が集まって、この場所から何かきっかけを起こしたい。ヒエラルキーがなく、フェアな関係で作家同士が集まって、イベントがあり、新しいジャンルが生まれてくる、メンバーも固定されたものではなく、出入りが自由な風通しのいい場所になればいいなと思っています。」
墨流し作品と工房が再現されたインスタレーション展示
ⓒKAZNIKI
スペースを続けることで、池上の街に何か変化を感じたことありますか。
「街を変えるほどの影響力があるとは思えないですけど、ご近所に住んでいてコーヒーを飲みに行って美術を鑑賞することが当たり前になってきた人がいる。気に入ったものを買ってみようという方も出てきました。そういう意味では、少しは影響があるのかなとは思います。」
これからの池上についてどのようにお考えですか。
「もう少しうちみたいなスペースやギャラリー、お客さんにお勧めできるお店が増えたらいいなと思います。池上は不便な場所ではないけど、うち1軒だけのために来るのが億劫になる人もいます。ついでに2〜3軒回れるなら行こうかなという方は多いんです。今も面白いお店はあるんですけど、同時期に何かイベントを出来たらいいですね。
外から人がいらして賑やかになるのはいいんですが、地域の人が居心地悪くなる環境にはなってほしくないです。難しいですけど、いいバランスの環境になっていってくれればと思います。」
*墨流し:水面に墨汁や顔料を落として出来た渦巻模様を紙や布に写し取る手法。
*オルタナティブスペース:美術館でも画廊でもないアートスペース。美術作品の展示だけでなく、ダンスや演劇など、様々なジャンルの表現活動に対応する。
*アート・スチューデンツ・リーグ(The Art Students League of New York):イサムノグチやジャクソン・ポロックが学んだ美術学校。
ガラス戸の前に立つ中井慎吾さん
ⓒKAZNIKI
墨流し作家/アーティスト。1979年、香川県生まれ。2021年4月、KOTOBUKI Pore Overをオープンする。
注目EVENT情報につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、今後中止または延期となる可能性がございます。
最新情報は、各問合せ先にてご確認頂きますようお願い申し上げます。
日時 | 1月20日(金)~2月4日(土) 11:00~16:30 営業日:金~日曜・祝日 |
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場所 | KOTOBUKI Pour Over (東京都大田区池上3-29-16) |
料金 | 無料 |
主催・問合せ | KOTOBUKI Pour Over 詳細は各SNSで |
日時 | 1月 12:00~18:00 定休日:日・月・火曜 |
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場所 | DAILY SUPPLY SSS (東京都大田区池上3-41-3 ハウスコンフォート102) |
料金 | 無料 |
主催・問合せ | DAILY SUPPLY SSS |
日時 | 2月11日(土)〜3月12日(日) 9:00-16:30(入館16:00まで) 定休日:月曜(祝日の場合はその翌日) |
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場所 | 大田区立龍子記念館 (東京都大田区中央4-2-1) |
料金 | 大人500円、小人250円 ※65歳以上(要証明)、未就学児及び障がい者手帳などをお持ちの方とその介護者1名は無料 |
主催・問合せ | 大田区立龍子記念館 |
公益財団法人大田区文化振興協会 文化芸術振興課 広報・広聴担当